2009年7月2日木曜日

鶴女房と亀夫

   それはボロボロのキルティングのポシェット・・

随分と年季が入っていてシミだらけじゃありませんか?
と訊ねた私。

でもこの中には大事な書類がいくつか入っているのよ。
新しく何か変わりになるようなバックはないかしら、という話から
この物語は始まるわけです。



バック・・バック・・あぁ、あるある・・ってタンスの引き出しから
ゴソゴソ出してきたそれは革製品の茶色いセカンドバック。


(妻)
そうそう、このセカンドバックね、夫にと思って買ったものだけど
いざ渡したら・・

     (夫) なんだ、なんだ、これ・・こんなの・・いらん

(妻)
そう言って使おうとしなかったのよ。そりゃもう癪だったわね・・
でも・・。
翌年になって、あ・・コレ買ったの使う?とけちょんけちょんに
言われたあのセカンドバックを見せたらね・・
 

     (夫) おぉ、いいなぁコレ・・使う使う。

(妻)
そう言って、そりゃ嬉しそうに受け取ったのよねぇ・・。

  ・       ・       ・       ・       ・
 
使い古す前にそのセカンドバックの持ち主は亡くなり、どうやら
タンスの引き出しの奥にずっと眠ったままだったようです。

何年ぶりかで妻はそのセカンドバックの中身を覗いてみた・・
するとそこには、その夫が
 
  
 
      妻や子供たちを支えた証が入っていた。

 

  今日はとても身近にいたオモロイ夫婦話を書きました。