それはボロボロのキルティングのポシェット・・
随分と年季が入っていてシミだらけじゃありませんか?
と訊ねた私。
でもこの中には大事な書類がいくつか入っているのよ。
新しく何か変わりになるようなバックはないかしら、という話から
この物語は始まるわけです。
バック・・バック・・あぁ、あるある・・ってタンスの引き出しから
ゴソゴソ出してきたそれは革製品の茶色いセカンドバック。
(妻)
そうそう、このセカンドバックね、夫にと思って買ったものだけど
いざ渡したら・・
(夫) なんだ、なんだ、これ・・こんなの・・いらん
(妻)
そう言って使おうとしなかったのよ。そりゃもう癪だったわね・・
でも・・。
翌年になって、あ・・コレ買ったの使う?とけちょんけちょんに
言われたあのセカンドバックを見せたらね・・
(夫) おぉ、いいなぁコレ・・使う使う。
(妻)
そう言って、そりゃ嬉しそうに受け取ったのよねぇ・・。
・ ・ ・ ・ ・
使い古す前にそのセカンドバックの持ち主は亡くなり、どうやら
タンスの引き出しの奥にずっと眠ったままだったようです。
何年ぶりかで妻はそのセカンドバックの中身を覗いてみた・・
するとそこには、その夫が
妻や子供たちを支えた証が入っていた。
今日はとても身近にいたオモロイ夫婦話を書きました。